この冬、久々の連休で栃木の実家に帰省した。
カメラが趣味の私は、今度の写真コンクールに応募するため、故郷の風景を撮りたいと思ったのだ。
小学生の姪っ子は、いつも私の写真を楽しみに待っていてくれる。
帰った日の夜、畳いっぱいに写真を並べていた姪っ子が、ふと「お姉ちゃんの写真って、おばあちゃんやおじいちゃんが写ってるのが多いね」と言った。
翌日は家族総出で干し芋づくり。
干し芋の作業は、蒸すのも干すのも、すべてが手作業。
姪っ子も、慣れない手付きだが楽しそうに手伝っている。
その様子を写真に撮りたくなり、カメラに手を伸ばしシャッターチャンスをうかがった。
その時、一瞬身震いがして、シャッターを切る手が止まってしまった。
ほんの一瞬だけ、姪が小さい頃の自分と重なって見えたのだ。
姪は蒸し上がったさつまいものカゴを一生懸命運んでいる。
汗だくになって運び終わった姪の頭を、祖母がポンポンとなでている・・・
子どもの頃と全く同じ光景じゃないか。
私は驚いて、カメラを構えたまま動けなくなっていた。しばらくの間、ファインダーを通して姪の姿を追いながら昔のことを次々と思い出していた。
さつまいも掘りの時期は、兄と一緒に学校から駆け足で家に帰って手伝いしてたっけ。 家族全員で、誰が一番大きいのを掘れるか競争したなぁ。 そして、採れたさつまいもで祖母がつくってくれた干し芋が、甘くて大好きだった。 この時期は毎日、干し芋がおやつ。どちらが多く食べたか、兄とケンカになったりすることも・・・。 でも、すんなり仲直りできていた。 祖母が手塩にかけてつくった干し芋・・・これがどこかほっとするようなやさしい味を感じたからなのかな。 |
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