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『生まれてくれてありがとうう』

「ただいま!ママにお土産があるんだ。」
「はる君お帰り。お土産ってなぁに?」
「隣のおばあちゃんからもらったんだ。ママに食べてほしいの。」
最初は不思議に思ったが、その日から干し芋を食べるたびに息子が私のお腹を丸くなでるのだった。
「はる君、なにをしているの?」
「ママのお腹におまじないをかけているんだよ。」
「何のおまじない?」と聞くと、
「あ!ママには内緒っ!でも、ママのお腹にとっても良いんだって…」
と照れながら言った。しばらくして息子のおまじないの理由が分かった。それはとっても可愛くて優しいおまじないだった。。

ここからはWEB限定小説!

『生まれてくれてありがとうう』息子と一緒に干し芋を食べ続けて3か月。
私は2人目の子供を授かった。
それを知り、息子は飛び跳ねながら喜んでいた。
おばあちゃんに「おまじない」のことを聞いたのは、この妊娠が分かってからだった。

ガラガラガラ・・・
「こんにちはー。」
おばあちゃんがニコニコしながら、干し芋をいっぱい持ってきた。
「はる君から聞いたよ。赤ちゃん出来たんだって?おめでとう。今日はね、おまじないに効く干し芋をたくさん持ってきたよ。お腹の赤ちゃんにもあげてね。」
おばあちゃんは、ふふふっと笑いながら干し芋を渡した。
「ねえ、おばあちゃん。そのおまじないって何のことか分かりますか。はる君に聞いても全然教えてくれなくて、すごく気になるんです。」

おばあちゃん:
「それはね、赤ちゃんができるようにっていうおまじないなのよ。はる君が、干し芋を初めて持ち帰ってきた日があったでしょう?その日の帰り道に、向かいから大きなおなかの母親と歳が同じくらいの男の子がいたんだって。その男の子は母親の大きなお腹を丸くさわりながら楽しそうに話していたって、後からうらやましそうに私に話していたのよ。それに私が、干し芋はお腹にすっごく良いんだよってはる君に教えた日だったの。私はお通じに干し芋が良いという意味で言ったけど、あの子には お腹に良いって事が赤ちゃんができるって思ったんだろうね。
その日からお母さんのお腹に毎日おまじないをかけているってさ。
お母さんには恥ずかしくて言えなかったみたいだけど、本当は兄弟が欲しかったみたい。」

息子が生まれてから、2人目が欲しいと思ってもなかなか授かれなかった。
気持ちが焦っていたのかもしれない。
だからできなかったのかな。
干し芋を一緒に食べて息子がそのことを忘れさせてくれていた。
最初は、理由も分からず一緒に食べていたが、次第に自分の心が温かくなり穏やかになっていた。

しばらくして息子は私のおなかを優しく丸くなでながら
息子:「姫ちゃん笑ってるかな」
私 :「姫ちゃん?女の子なの?」
息子:「そうだよ、女の子だよ。ぼく分かるんだ。」

※この物語はフィクションです。
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